陽だまりのお茶会
管理人の他愛無い日常や、ペットの観察日記、ファミリー(お友達)の生態観測が垣間見れます。
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バレンタインなんて…。




急遽思い付いたSSです。興味のある方は続きからどうぞ。




バレンタインなんて、くそくらえ!


あたしは世間に溢れかえるお菓子会社の陰謀(←)の賜物達に内心毒づきながら、寒風吹き荒ぶ夕暮れの街中を闊歩していた。


バレンタインにはちょっとした悲しい思い出がある。


小学生の頃、初めて芽生えた淡い恋心を伝えるために、なけなしのお小遣いで買ったチョコレートを好きな男の子に渡そうとした。

すると相手は、

『男女にそんなもんもらったって、嬉しかねぇよ!』

捨て台詞とともに、可愛らしくラッピングされたチョコと呆然とするあたしを置き去りにしたのだ。

当時のあたしは大抵の男の子達より背が高く、日に焼けてショートヘアの活発なタイプだった。

だから、男の子と間違えられることも少なくなかったし、思春期のナイーブな男心が照れ隠しにそうさせたのは、今なら解らないでもないんだけど…。

そんな微妙な心の動きを色恋に疎い小学生女子が理解出来るはずもなく…。

その出来事は後々まであたしの心の傷となってしまった。


それ以来バレンタインと聞くと、あたしは苦い思いがよみがえり、元々そんなに甘い物も口にしない質だったので、この季節は特に洋菓子店やバレンタイン一色の売り場などからは足が遠ざかる一方だった。


今日も本当なら、家で一日中小説を読みまくる引きこもり生活を満喫する気満々だったのに、

『どうせお前暇だろ、新メニューの試食に協力しろ』

という、10年来の親友の半強制的な呼び出しに、しぶしぶ重い腰を上げたのだった。



「新メニューって何よ?」

大通りから一本外れた比較的静かな一角にある、こじんまりとしたカフェが今日の目的地だ。

定位置と化しているカウンターの隅に座って親友の顔を見るなり、あたしは本題に入った。

さっさと食って、ちゃっちゃと感想言って、とっとと帰るんだから、あたしは。

「何だよ、慌ただしいなぁ。まあちょっと待ってろ」

ほんのりレモンで香り付けした微炭酸のグラスを目の前に置かれ、喉が渇いていたあたしはそれを半分ほど一気に飲み干した。

彼はこの店のオーナーの甥っ子で、趣味で始めた叔父が適当に経営して赤字を続出していたのを見かねて手伝いを申し出、持ち前の明るさと想像力を生かしたランチメニューを取り入れ客足を伸ばし、今では実質上の店長のようなものだった。


「おまちどおさま。小エビのカツサンド。自家製パンとソースが決め手。女性でも食べやすいように一口サイズにカットしてみました」

にこやかに営業スマイルを浮かべる親友を見て、ああ、世のおば様やお姉様達はこの笑顔に騙されてるんだよな~、と改めて思う。

カツサンドは歯触りのいい衣とプリッとしたエビの甘さが少し厚めのふわっともっちりパンと相性バッチリ。
悔しいけど、文句のつけようがなくて、あたしはモグモグしながら唸るしかない。

「ふぬぬ…」

「どう?イケてる?」

「…おかわりが欲しい」

「お前がそう言うなら上出来ってことだな」

満足そうにうなずいて、カウンター奥の調理場に消えた親友は、てっきりおかわりを持ってきてくれるのかと思ってたら、手には湯気の立つカップを持って現れた。

「何ソレ?」

「ショコラ・ショー。辛党のお前に合わせて甘さ控えめにしてある」

「見りゃ分かるけど。いやそうじゃなくて…」

チョコが苦手だって知ってるだろうに、何の嫌みだそれは。

「今日は何の日だ?」

「…バレンタイン」

「おう。だからほら、逆チョコってヤツだな」

は?何の冗談?

一瞬目が点になって、その後ふつふつと怒りが込み上げてきた。

「…昔、あたしのチョコ受け取らなかったくせに」

今さら何調子のいいことぬかしてんだ、こいつは。

「だから、あれは悪かったって何度も謝っただろうが。…いい加減、俺もトモダチ卒業したいんだって」

…ぬぅ。

つい黙り込んでしまったあたしをカウンター越しに覗き込む、10年来の親友…もとい、友達以上恋人未満の想い人。

心の奥ではとっくの昔に許してしまっていたけど、今の関係が居心地よくて、何となくうだうだ誤魔化してきたあたし。

…傷ついても、側にいるのを止められなかったのはあたしの方で。

ここいらが潮時かな。

熱々のカップを手に取り、息を吹き掛けながら、一口飲んでみた。

ビターなチョコの香りと柔らかな甘さと温かさが、頑ななあたしの心を溶かしていくようで。

「…ホワイトデーは、あんたの嫌いな納豆をたっぷり使ったお菓子を食わせてやる!」

照れ隠しに上目遣いで睨んだら、親友から恋人に昇格した相手は、

「それだけは勘弁して!」

と苦笑いしながらもすごく嬉しそうだったから、あたしもつられて笑ってしまった。



終わり。


…何とか間に合った!
こんなもんでご勘弁を<(_ _;)>
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[ 小話 ]
| 2011/02/14 14:32| TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |
この記事に対するコメント
タイトルなし
知秋くん:あら、知秋くんの大好物だった?
お粗末さまでした。お腹壊さなかったかしら…。
【2011/02/15 15:26】 URL | 文月 七陽 P05B #79D/WHSg [ 編集]

タイトルなし
か、可愛い(ノ∀<*)
女子のツンデレ、罪なほど可愛い595959
良いバレンタインをごちそうさまでした59
【2011/02/14 21:51】 URL | 知秋 932SH #79D/WHSg [ 編集]


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